今回は遅延回路について記事を書きたいと思います。
そもそも”遅延回路って何??”って思われる方もいるかもしれません。
簡単に言うと、センサの信号のONをちょっとだけ遅らせてPLCが受け取れるようにすることです。
ここで”えっ!?センサの信号を遅らせちゃって大丈夫なの??”と思われる方もきっとみえますよね??
それが、大丈夫なんです。というか遅延が無い方が問題になってしまうこともあるのです。
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遅延回路の組み方
簡単に回路を作ってみました。
入力はすべてリミットスイッチとしています。
左側の五つがセンサーの接点。
右側の五つが遅延=タイマーです。
動作の回路を作る際に、何故、センサーの接点を直接入れない方がいいのか、それには二つ、理由があります。
①チャタリングにより誤動作してしまう
特に機械式センサーや、光電センサーなどで起こる問題になります。
機械式のスイッチはバネとアームで構成されています。
検出体によってアームが押されるとスイッチがオンする仕組みなのですが、その時に問題が起こります。
問題とは接点バウンドです。
検出体がアームに当たった際にちょうどバスケットボールが弾むように、接点が何度も
オンオフを繰り返してしまいます。
光電スイッチの場合も同じような問題が起こることがあります。
問題とは外乱です。
光電スイッチは名前の通り光を検知してオンオフするスイッチです。
ワークだけを上手く検知してくれたら良いのですが、そうならない場合があります。
それは周辺機器をワークと勘違いしてオンオフしてしまう外からの乱れ、外乱です。
これらのチャタリング(細かいオンオフの繰り返し)が起こると、本来1度だけのオンで
正常に動くはずの機械部が上手く動かなくなったり誤作動もしくは動かなくなったりしてしまいます。
②品番検知時に誤読み取りしてしまう
生産設備には ワークや治具に品番確認のための ドグ(センサの相手)がついており、それを読み取るための品番確認センサーも同時についている場合があります。
またワークがあるかないかのワーク確認センサーも同時についている場合があります。
もしこの品番確認センサーとワーク確認センサーが同じ位置についていたとしてセンサー接点のみで正常に品番が読み取れると思いますか?
答えはノーです。
品番を読み取るリミットスイッチとワーク確認のリミットスイッチがオンするタイミングがバラバラなため
ワーク確認センサーがオンした時点でたまたまオンしている品番センサーの信号だけが読み取られてしまうからです。
まとめ
このようにセンサー接点を直接動作回路に組み込むには少し難があるのです。
そこで遅延回路を使用するわけです。
遅延回路を使うと
①のチャタリングについては無視をすることができ、確実に安定してセンサー接点が
オンした時のみ、信号をPLC内で処理することができます。
②の品番確認の誤作動についても品番確認用LSの遅延タイマーとワーク確認用LSの遅延タイマーとの時間差をあえてつくることで品番確認用LSが確実にONしてからワーク確認センサがONすることで品番の読み間違いを防ぐことができます。
T1とT2は0.5秒のタイマーを使用。
T3とT4とT5については0.2秒の
タイマーを使用しています。
このようにセンサーの接点を直接使うでなく、遅延回路を設けることで、誤作動の少ない
安定した回路を作ることができます。
場合によってはセンサー接点を直で使った方が都合のいいこともあるかと思いますが基本的にはこの遅延回路を推奨いたします。
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今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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