今回はPLCについて初心者にも分かりやすいように説明したいと思います。
この記事は
・PLCを初めて触ることになったけどどんなものか分からない方
・これからラダープログラムを勉強する方
・生産設備に関わる仕事をしている方
におすすめです!
PLCとは
PLCはプログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)の略です。
生産設備の頭脳の役割をしています。この頭脳から生産設備に指示を出して動きを制御しているわけです。
PLCと似たような意味でシーケンサと呼ばれることもありますが、これは三菱電機の商品名となります。
ですから、例えばオムロンというメーカーのPLCはシーケンサとは呼びません。
これを知らずに外のメーカーさんと話をすると、恥をかきかねないので注意してくださいね。
シーケンス制御について知りたい方はこちらの記事を先に読んでください。
写真1は三菱のPLC(シーケンサー)です。
写真1
写真2のはオムロンのPLCです。
写真2
メーカーが違うと形も全然違いますね。でも役割としては同じで生産設備の頭脳として設備の動きを制御する役割をしています。
PLCの具体的な役割とは
PLCはセンサやボタンなどの入力機器のON/OFF状況に応じて、コンベアやバルブ(シリンダを動かすためのもの)の出力機器をON/OFFすることにより、シーケンス制御を実現するコンピュータです。
ただし、PLCを購入した時点ではコンピュータの中身は空ですから、人間がプログラムを作ってコンピュータに入れてあげる必要があります。
このプログラムによって、例えば1番の入力機器(ボタン)がONしたら10番の出力機器(ランプ)をONしなさいというような動きが決定されます。
この簡単な動きはこの記事でイラスト入りで紹介していますので、参考にしてください。
実際の生産設備の中にはもっと複雑な条件のプログラムが書き込まれており、日々良い品質の製品を生み出すために休みなく働いているわけです。
PLC使うメリット リレー制御との違い
この記事を読んでいる方は少なからず電気系の知識がある方だと思います。
シーケンス制御を行うにはPLCとは別で電磁リレーというものがあります。
これついてはリレーについて書いた記事で写真入りで紹介していますので参考にしてください。
じゃあ、電磁リレーでシーケンス制御をしたらいいじゃない?なんでわざわざ値段の高いPLCを使うの?
なんて思われる方も少なくないんじゃないかと思います。
PLCを使用する1番の理由はシーケンス制御の動きを変更するのが簡単だからです。
もし電磁リレーで全ての設備の動きを作った場合、設備の仕様変更(生産する製品の追加など)があったときに、配線をやり直さなければいけません。その手間は想像をはるかに超えます。
また配線を万が一間違えてしまった場合は設備が動かないだけでなく、その原因の特定に途轍もない時間がかかります。
その点、PLCを使ってプログラムを組めばパソコン上でプログラムを書き換えるだけで仕様変更が容易にできます。
ですからほとんどの生産設備にはPLCが使用されているのです。
その他には電磁リレーに比べ、接点寿命が長いことや停電した場合にも復帰が容易などの理由が挙げられます。
PLCの各部の役割
PLCはシンプルな見た目ながらいろいろな役割を持ったパーツの集合体です。
ここでは三菱PLCのQシリーズを例に挙げ、PLCの各部の役割を解説していきます。
電源部
PLCの電源部では入力された電源をPLC内部で使用しやすいような電源に変換し、またその他の部品に供給する役割があります。
三菱Qシリーズの場合だと、100Vから24Vに変換する電源を使うことが多く、これなしにはPLCを稼働することすら不可能となります。
演算部
PLCの演算部では内部に書き込まれたプログラムに沿って、受け取った入力信号を計算し、必要に応じて出力をする役割を持っています。
三菱Qシリーズの場合だと、選定する型式によって内部メモリの大きさや処理速度などが大きく変わってくるため、設備の規模に応じて正しく選定する必要が出てきます。
ものによってはイーサネットポートなどの外部通信用のポートを持っているものもあります。
入力部
PLCの入力部では、センサやスイッチなどの入力信号を受け取り、演算部に送る働きをしています。
選定する型式により、受け取れる信号の数や受け取れる電圧に差があったりしますので、設備の仕様に合わせて正しく選定する必要があります。
出力部
PLCの出力部では、演算部から出力された信号を機器(ランプ、バルブなど)が動作できる電圧に変換し、出力する働きをします。
入力部同様、型式によって、出力できる信号の数や電圧に差がありますので、信号を受け取る側の機器(ランプ、バルブなど)に合わせた出力部の選定が必要になります。
ベース部
PLCのベース部は、前述した電源部、演算部、入力部、出力部などを接続する役割を持っています。
この機器がないと、そもそもPLCとして成り立たないように思えますが、PLCの種類によっては各機器を内部で接続してパッケージ販売しているものも存在しますので、必ずなくてはならない、という訳ではありません。
三菱のFXシリーズはその典型と言えるでしょう。
通信部
PLCの通信部は、単純な入出力のONOFF信号ではなく、より高度な通信を行いたい時に使用します。
具体的にはCC-Linkなどの省配線システムやイーサネットなどのTCP/IPプロトコルなどが該当します。
またサーボモータをコントロールするための専用の機器も販売されています。
初歩の段階でここまで理解する必要は、個人的にはないと思っていますが、頭の片隅に入れておくことで、いざ使用するとなった時にイメージがしやすくなると思います。
バッテリー部
PLCのバッテリー部は、PLCに記憶された情報を保持する役割があります。
バッテリーの電圧が低下すると(電池が切れると)PLC内部に保存された情報が消失してしまうため、再度プログラムを入れ直す必要が出てくるなどの大きな損害になります。
プログラム上でバッテリー低下を検知することもできるため、それを使ってランプを光らせるなどの工夫をすると良いでしょう。
まとめ
・PLCは生産設備の頭脳の役割をしている
・入力のON/OFFを計算して出力のON/OFFを決めて設備をシーケンス制御している
・PLCのプログラム変更は簡単にできる
PLCのことについて少しだけ詳しくなれましたか?
生産現場には欠かせない存在ですから、どんなものなのかをしっかり掴んで扱うようにしてくださいね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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